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過去の災害を知る

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目次

 

災害を今に伝える歴史文化資源(自然災害伝承碑)

 自然災害伝承碑とは、過去に発生した自然災害(洪水、土砂災害、高潮、地震、津波、火山災害等)の様相や被害状況等が記載されている石碑やモニュメントのことです。
 これらの碑は被災場所に建てられていることも多く、過去にその土地で、どんな災害が起こったかを知ることができます。

北の江開作決壊修復記念碑[嘉川 江崎]

山口市江崎にある石碑の写真。昭和17年周防灘台風により決壊し一面の海となった北の江開作の修復を記念し建てられた。
 昭和17年(1942) 8月27日、台風16号は山口県に最接近し、満潮の時間と重なって高潮が襲来し、周防灘沿岸部に甚大な被害を与えた。嘉川地域の北の江開作でも、堤防の決壊によって一瞬にして浸水し海と化した。周防灘沿岸に大きな被害をもたらしたため、周防灘台風と呼ばれる。
 この碑は決壊修復記念碑として建てられたもので、周防灘台風の被害を今に伝える自然災害伝承碑のひとつである。

​​高井堰の水害復旧記念碑・明神溜池の災害復旧記念碑[平川 上平井・堂紺]

高井堰の水害復旧記念碑明神溜池の災害復旧記念碑
 仁保川下流にある高井堰には水害復旧記念碑(昭和10年6月30日被害・昭和14年3月30日竣功)が、堂紺地区の奥にある明神溜池には災害復旧記念碑(昭和18年6月28日決潰・昭和30年3月竣工)が建っている。
 平川地域の農業では、九田川と溜池が古くから重要な水源であったことから、被災からの復興は急務であった。
 平成21年7月の豪雨では明神溜池が決壊し、下流域では床上浸水や家屋損壊が生じた。このため、昭和30年の災害復旧記念碑の隣には現在、平成23年3月竣工の全面改修記念碑が並んで建っている。

渡川橋繰船永代録・延命地蔵[阿東 篠生]

 渡川橋繰船永代録延命地蔵

 阿東地域にある渡川橋は主要街道である石州街道に架かる橋の1つであったが、阿武川の洪水の度に流失し人々が難渋していた。
 延命地蔵は文化3年(1806) に安全を祈り造立され、その後の大洪水で橋と共に流失してしまったが、掘り起こされて再び安置された。光背の欠損はそのときのものと伝わっている。
 渡川繰船永代録は嘉永6年(1853)のものである。橋が度々流失し通行に難儀するため、庄屋が発起人となって寄附を募り、繰り船の事業が完成した記念に建てられた。100名余りの寄附者は徳佐から嘉川にまで広くの地域に及び、この繰り船への期待の大きさを伺わせる。
 現在は数度の移設を経て渡川橋の北側に並んで建っている。

その他の自然災害伝承碑

 国土地理院の自然災害伝承碑代表事例のページには、自然災害伝承碑の取組や、時代ごとの災害と自然災害伝承碑の事例などが掲載されています。​
 また、「地理院地図」では、地図上の地図記号アイコンから自然災害伝承碑と災害の概要を見ることができます。

 

史料や記録から知る災害​

●文書に残された記録や日記から当時の災害の様子をうかがい知ることができます。​

宝永地震

 宝永4年(1707)10月4日に東海道沖から南海道沖を震源域として起きた地震。その24日後の10月28日に誘発地震とみられる地震が上徳地村で起こり、建物289軒が倒壊、死者3人などの被害が出たことが『公儀事諸控』に記されている。

 また、『防洲湯田村温泉記』には、宝永地震によって湯田温泉で温泉の湧出が3年にわたって止まったと記されている。

安政南海地震

 嘉永7/安政元年(1854)11月5日に紀伊半島から四国沖を震源として起きた地震。萩藩領内各地からの状況報告の綴りである『大地震報告書』から、嘉川、名田島、現在の秋穂の青江や、現在の佐山の遠波で土手や塩田の被害があったことや、陶の山王社(現在の日吉神社)の石灯籠の頭が落下したことなどが報告がされていることがわかる。

浜田地震

 明治5年(1872)2月6日に島根県浜田を震源として起きた地震。『中野梧一日記』には湯田でランプの損壊や瓦が落ちたこと、小郡では家屋の全半壊があったことが、道場門前の商家の日誌『年中日誌』に瓦が落ちたことが記されている。


●市町村史や郷土史からも、地域の過去の災害について知ることができます。(以下は市町村史、郷土史から引用)

昭和26年7月豪雨

 昭和26年7月7日から17日にかけて、九州地方を中心に大雨となり各地に水害をもたらした。佐波川では戦後最大の洪水となった。

『徳地町史』改訂版2005
 佐波川本流域の徳地地域(柚野・八坂・出雲村)では、有史以来類をみない被害をこうむり、汚物、流木が散乱し、家財道具を失った住民はただ呆然として全く手の下しようもなかった。中でも出雲村堀町は最もひどかった。7月10日から約5日間は各村は交通、通信網全く途絶し一時孤立の状態になった。

『小鯖村史』1967
 小鯖地域では叶木集落において山崩れで耕地の約半分が埋設・流失という惨状を呈した。千坊線や柊の被害も未曾有のものだった。県下の災害で最も激甚であったのは佐波川流域であったため、青年団・消防団は災害復旧の奉仕作業に赴いた。

『私たちの郷土 鋳銭司村』1954
 鋳銭司地域では四辻、上辻で床上、床下浸水をみた。また高橋川の土手が切れて植田は水をかぶった。

​​昭和38年1月豪雪

 昭和38年1月から2月にかけて、北陸地方を中心に東北地方から九州にかけての広い範囲で降雪が続き、記録的な豪雪となった。

『阿東町誌』1970
 昨年12月28日よりの降雪は、2月10日まで降りつづき、80年振りの大雪。積雪量9尺乃1丈(約2.7メートルないし約3メートル)、多きは一夜に1尺(約30センチメートル)以上も積みたり。

昭和47年7月豪雨

 昭和47年7月3日から15日にかけての豪雨により、全国で河川の氾濫や土砂災害が相次いだ。

『仁保の郷土史』1987(要約)
 仁保原河内並山で、2世帯8人が氾濫した川のため孤立し、特別警ら隊は孤立者を背負いロープをつたいながら一人一人救出した。川の氾濫により、耕地が川筋となり土砂、流木が下流部落を襲った。仁保地区全体では37カ所の山崩れがあり、3名の命を失い、2名の重傷者を出した。

『小郡町史』1979
 堤防・河川・道路・橋の被害も多く山口線は四日間不通となった。

 

​​過去の災害について知る・調べる

ウェブサイト

書籍

山口県立山口図書館ウェブサイトの調べ方案内のページでは、災害について調べるための資料が紹介されています。
山口県立山口図書館 ― 山口県の災害について調べる <外部リンク>


山口市史や各地区の旧町村史・郷土史などでは、章立てや年表内で災害について記述されているものがあります。

  • ​​内田伸/編『私たちの郷土 鋳銭司村』鋳銭司村公民館、1954
  • 板倉道義『小鯖村史』小鯖村史刊行会、1967
  • 吉松慶久/著、内田伸/編『秋穂二島史』二島公民館、1969
  • 波多放彩『阿東町誌』阿東町役場、1970
  • 徳地町史編纂委員会/編『徳地町史』徳地町役場、1975
  • 小郡町史編集委員会/編『小郡町史』小郡町、1979
  • 能美宗一/著、名田島公民館/編纂『名田島村史』マツノ書店(発売)、1979
  • 山口市史編集委員会/編『山口市史』山口市、1982
  • 秋穂町史編集委員会/編『秋穂町史』秋穂町、1982
  • 仁保の郷土史編纂委員会/編『仁保の郷土史』仁保の郷土史刊行会、1987
  • 嘉川郷土史編纂特別委員会/編『郷土史 ふるさと嘉川』嘉川建設振興会、1994
  • 徳地町史編纂委員会/編『徳地町史』改訂版、徳地町役場、2005
  • 仁保自治会/編『ふるさと仁保』2017
  • 平川地区史編纂委員会(平川史談会) /編『郷土史ふるさと平川』平川地区コミュニティ推進協議会、2019

写真集などで、被災時の写真を掲載している書籍もあります。

  • 内田伸/編『ふるさとの想い出 写真集 明治 大正 昭和 山口』国書刊行会、1979
  • 建設省山口工事事務所/編『佐波川今昔集錦』1999
  • 小郡町史企画委員会/編『ふるさと小郡の記憶 町制百周年記念写真集』小郡町、2001
  • 陶地域交流センター完成記念事業会/編『写真と思い出でつづる明治・大正・昭和の陶』陶連合自治会、2016

 

参考文献

  • ​下関測候所『山口県災異誌』1953
  • ​阿東町教育委員会『阿東町石造物文化財』1995
  • ふるさと篠生の歴史編集委員会『ふるさと篠生の歴史』篠生公民館、1997
  • 杉山正實『嘉川の石祠・石仏など』2008
  • 山口県文書館/編『山口県の大災害 展示解説書』2013
  • 金折裕司『一八五四年安政南海地震と一八七二年浜田地震による山口県の被害報告』山口大学理学部金折研究室、2013
  • 災害教訓事例集編集委員会/編『災害教訓事例集』山口県、2016
  • 山口市『山口市の金石文 ―阿東・徳地・小郡・秋穂・阿知須編―』2019

 

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