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周防鋳銭司跡出土品

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すおうすぜんじあとしゅつどひん
周防鋳銭司跡出土品

文化財指定等状況

市指定

指定区分

有形文化財

指定年月日

平成14年3月25日

種別

有形文化財(美術工芸品)

美術工芸品の分類

考古資料

時代(大分類)

古代

時代(小分類)

平安

地域

大殿

所在地

山口市春日町5番1号 山口市歴史民俗資料館、山口市鋳銭司1422番地 鋳銭司郷土館

概要

説明

 この出土品は、昭和40年度に行われた周防鋳銭司跡の第1次調査で出土した遺物である。
 鞴羽口は、溶鉱炉と送風装置である鞴を結ぶ送風管である。芯に径3cmほどの丸太を使用して粘土を巻き付け、体部をたたいて整形したものと思われる。芯を抜いた後に、裾部の内壁を指オサエもしくはケズリにより幅広に仕上げている。
 坩堝(るつぼ)は、銅を溶かしたり、溶かした銅を鋳型(いがた)に注ぐための器である。形態は、口径17~20cm、高さ8~11cmを測る半球状の厚手の器で、体部から口縁に向けて器壁を薄く作り出している。器壁の厚さは、底部で2.5~3cm、口縁は1cmである。また、口縁には片口の注口がある。内面及び口縁外面に炭混じりの銅滓が付着している。破片資料のなかに、内面に布目圧痕がみられるものがあることから半球状の型に布を敷き、粘土を被せて型抜きして製作したものと思われる。
 印影(いんえい)粘土板は、一辺一寸四分(4.2cm)の方角印が押印された粘土板で、故意に焼成しているのかは不明であるが被熱している。印影は、欠損しているため右下の文字が不明であるが、隷書体で右側に「宗□」、左側に「私印」とある。焼き縮みを考慮して、一寸五分(4.5cm)方角の私印であった可能性が高い。この私印は、貞観7年(865)から10年に鋳銭司長官に任じられていた安部宗行の私印の印影と考えられる。私印は、貴族や官人が文章に押印して証明と、偽造・抹消・改竄防止のために使用されたと考えられている。その他、瓦や土器などに押印するものもみられる。粘土板に私印を押印しているものは全国でも他に例が無く、その用途については不明である。

関連文化財群

古代山陽道沿線に展開した工業地帯