地方財政の充実・強化を求める意見書
意見書全文
地方財政の充実・強化を求める意見書
地方自治体は、子育て支援、医療、介護といった社会保障、環境対策、地域交通の維持など果たす役割が拡大する中で、人口減少対策を含む地方版総合戦略の策定・実行など、新たな政策課題に直面している。
一方で人材が減少し、新たなニーズへの対応が困難となっており、公共サービスを担う人材確保を進めるとともに、これに見合う地方財政の確立を目指す必要がある。
当市でも合併から10年が経過し、「山口市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の推進や「第二次山口市総合計画」の策定など、人口減少社会を見据えたさまざまな取り組みが求められ、財政及び人材の確保が必要となっている。
こうした状況にもかかわらず、社会保障と地方財政を含めた歳出削減に向けた議論が加速しており、歳出効率化に向けた業務改革を反映した地方交付税算定の導入など、地方財政全体の縮小が危惧されるものとなっている。
本来、必要な公共サービスを提供するため、財源面でサポートするのが財政の役割であり、財政再建目標を達成するためだけに、必要不可欠なサービスが削減されれば、国民生活と地域経済に疲弊をもたらすことになりかねない。
このため、2017年度の政府予算、地方財政の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積り、人的サービスとしての社会保障予算の充実、地方財政の確立を目指すことが必要であり、政府に次のとおり対策を求めるよう強く要望する。
記
1 社会保障、環境対策、地域交通対策、人口減対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保を図ること。
2 子ども・子育て支援新制度、地域医療構想の策定、地域包括ケアシステム、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。
3 地方交付税における「トップランナー方式」の導入は、地域の置かれている実情に配慮するとともに、住民生活の安全・安心が確保されることを前提とした合理的なものとし、地方交付税の財源補償機能が損なわれないようにすること。
4 地域間の財源偏在性の是正のため、地方偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な解決策の協議を進めること。同時に、各種税制の廃止、減税を検討する際には、自治体財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保をはじめ、財政運営に支障が生じることがないよう対応を図ること。
5 地方財政計画に計上されている「歳出特別枠」「重点課題対応分」及び「まち・ひと・しごと創生事業費」については、自治体の財政運営に不可欠な財源となっていることから、現行水準を確保すること。また、これらの財源措置について、臨時、一時的な財源から恒久的財源へと転換を図るため、社会保障、環境対策、地域交通対策など、経常的に必要な経費に振りかえること。
6 地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化を図り、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年6月24日
山口市議会
意見書全文のPDFファイル
意見書の提出先
- 内閣総理大臣
- 内閣官房長官
- 総務大臣
- 財務大臣
- 経済産業大臣
- 内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)
- 内閣府特命担当大臣(地方創生担当大臣)
- 衆議院議長
- 参議院議長