第26回中原中也賞が小島日和さんの『水際』に決定しました
概要
第26回「中原中也賞」では、令和元年12月1日から令和2年11月30日までに刊行された現代詩の詩集268点が寄せられました。
令和3年2月13日、最終選考作品として選ばれた7作品を対象に、東京都のホテルルポール麹町で選考会を開催しました。
選考の結果、第26回中原中也賞は、小島日和さんの『水際』(七月堂)に決定しました。
受賞者には、正賞として中也と親交のあった彫刻家高田博厚(1900-1987)制作の中原中也ブロンズ像と、副賞として100万円を贈呈します。第26回中原中也賞の贈呈式は4月29日(木曜日・祝日)に山口市で行い、あわせて萩原朔美氏(多摩美術大学名誉教授、前橋文学館館長)による記念講演を開催いたします。
受賞作品
『水際』(七月堂)
受賞者
小島日和(こじまひより)
受賞のコメント
このたびは、第26回中原中也賞にお選びいただき、ありがとうございます。
まず、選考委員の方々に読んでいただけたことが、うれしいです。
この『水際』は、おととしの春に詩を書きはじめてから、およそ1年間に書いたものをまとめた詩集です。
ですから、これから先、ずっと長い時間のなかで、なにを、どう書いていくのか、わたしにもわかりません。ただ、少しでもいいものを探していくために、少しでも長く書きつづけられたら、と思います。
最後に、詩を書きはじめるきっかけをくださった方、いつも、詩を書いているわたしのことを見ていてくださる皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
選考経過
公募、推薦の詩集268点について本年1月に開催された推薦会の検討の結果、青木由弥子『しのばず』、石松佳『針葉樹林』、江夏名枝『あわいつみ』、大島静流『飛石の上』、尾久守侑『悪意Q47』、小島日和『水際』、萩野なつみ『トレモロ』の7冊が選ばれ、本日の選考会の対象とされた。
コロナ禍のなかでも、オンラインではなく、顔を合わせて議論したい、ということで、選考会は近年になく盛り上がった。
候補作7冊のなかで、最終的に大島静流『飛石の上』、小島日和『水際』の2冊をめぐって、長い討議が行われた。ともに同年齢、インカレポエトリ叢書シリーズの2冊である。どちらも大きな可能性を秘めた詩集だが、まったく言葉の出し方が違っている。
大島静流『飛石の上』は、候補作のなかで唯一、言葉を対象にしており、対象との的確な距離感が心地よい。テンポもよく、アフォリズム的な決断力も優れている。ただし、そのバランスの良さが、ここから先、どこへ抜け出るか。
小島日和『水際』は、のびやかでなめらかな言葉を駆使して、日常の現実の時間を手さぐりで描く。母親、父親、故郷など、作者が捨ててきた分厚い過去の歴史を再現しようとする試み。詩句が成立する背景の物語が大きく、ここにはやわらかな作者の声が明確にある。未知数だが、発展段階の個性が十分発揮されていることから、全員一致で、第26回中原中也賞受賞作品に決定した。
最終選考作品(著者名五十音順)
著者 | 詩集タイトル | 出版社 |
---|---|---|
青木由弥子 | しのばず | 土曜美術社出版販売 |
石松 佳 | 針葉樹林 | 思潮社 |
江夏 名枝 | あわいつみ | 澪標 |
大島 静流 | 飛石の上 | 七月堂 |
尾久 守侑 | 悪意Q47 | 思潮社 |
小島 日和 | 水際 | 七月堂 |
萩野 なつみ | トレモロ | 七月堂 |
選考委員(五十音順)
氏名 | 肩書き |
---|---|
荒川洋治 | 現代詩作家 |
井坂洋子 | 詩人 |
佐々木幹郎 | 詩人 |
高橋源一郎 | 作家 |
蜂飼耳 | 詩人 |
応募状況(一般応募作品257冊)
全国43都道府県より応募がありました。山口県内からは7人(うち山口市内1作品)。
最も応募が多かったのは、東京都の48人でした。
応募者は242人、その内訳は、男性が141人、女性が99人、不明2人でした。
年代別 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 4人 | 29人 | 47人 | 36人 | 29人 | 54人 | 39人 | 4人 |
関連書類※ダウンロードします。
報道資料1 [PDFファイル/324KB]
報道資料2 [PDFファイル/194KB]
報道資料3 [PDFファイル/120KB]
報道資料4 [PDFファイル/80KB]
報道資料5 [PDFファイル/210KB]
報道資料6 [PDFファイル/147KB]
中原中也についての関連リンク
中原中也記念館ホームページ<外部リンク>