第20回中原中也賞の受賞詩集が決定しました
この賞は、日本の近代詩史に偉大な足跡を残した山口市出身の詩人、中原中也の業績を顕彰すると同時に、新鮮な感覚を備えた優れた現代詩の詩集に対しこの賞を贈り、詩を通じて豊かな芸術文化意識の向上をはかります。
第20回中原中也賞では、平成25年12月1日から平成26年11月30日までに刊行された現代詩の詩集202点が寄せられました。平成27年2月14日、最終選考作品として選ばれた7作品を対象に、山口市湯田温泉の旅館西村屋で選考会を開催し、審議の結果、第20回中原中也賞は岡本啓(おかもとけい)さんの『グラフィティ』(思潮社)に決定しました。
受賞者には、正賞として中也と親交のあった彫刻家高田博厚(1900-1987)制作中原中也ブロンズ像と、副賞として100万円を贈呈します。第20回中原中也賞の贈呈式は4月29日(水曜日・祝日)に山口市で行います。
受賞コメント
すばらしい賞をいただけて、とても嬉しく思います。
ただ、このありがたい知らせには、次の詩を書き出すことでしか応えることはできない、どこかでいま、そう感じています。
この詩集の詩は主にアメリカで書いたものです。しかしどこにいても、世界の空気をふかく吸いこんで、書き出そうとする一篇の詩は、一艘のボートのように、 まず自分自身を、まだ見ぬ方角へとすすめてくれます。それは、おのおのの口を飛び出し、こうして地球を覆う、言語の繭が秘めた不思議な力ではないでしょうか。
だからこそ、握りしめた言葉で、全力で水面をたたき、揺るがしたい。日常に出会う、小さくとも前をむいた漕ぎ手たちを追いかけていきたい、そう思っています。(岡本啓)