第12回中原中也賞が須藤洋平さんの『みちのく鉄砲店』に決定しました
概要
第12回中原中也賞には、平成17年12月1日から平成18年11月30日までに刊行された現代詩の詩集252点(うち推薦詩集12点)が寄せられました。平成19年2月17日、応募作品の中から最終選考作品として選ばれた7作品を対象に、山口市湯田温泉の旅館西村屋で選考会が開催され、審議の結果、第12回中原中也賞には、須藤洋平さんの『みちのく鉄砲店』(私家版)が選ばれました。
受賞作品
『みちのく鉄砲店』(私家版)
受賞者
須藤洋平(すとうようへい)
略歴
1977年生、29歳〈受賞時〉
早稲田医療専門学校卒
詩集『みちのく鉄砲店』(2006年9月 私家版)
受賞のコメント
病気に疲れ果て、正直詩集を出したなら死のうとさえ考えていました。中原中也と同じ30歳。不遜を承知で言わせていただければ、この受賞で、中也が「お前はまだまだ生きなさい、そして、書き続けなさい!」と言ってくれているような気がするのです。この上ないすばらしい賞をありがとうございました。選考委員の先生方、関係者の皆様方に心から感謝いたします。「おっかあ、産んでくれてありがとう」
選考経過
公募、推薦の詩集252冊について本年1月に開催された推薦会の検討の結果、多和田葉子『傘の死体とわたしの妻』、大谷良太『薄明行』、キキダダマママキキ『死期盲』、望月遊馬『海の大公園』、須藤洋平『みちのく鉄砲店』、安川奈緒『MELOPHOBIA』、館路子『螢、探して』の7冊が選ばれて、本日の選考会の対象とされた。
今年の最終候補に残った詩集は、現在の若い詩人たちの傾向を反映した流動することばの世界や、詩と小説の両方の文体を解体する試みや、伝統的な抒情性を結晶したものなど、わたしたちを動かす力をもったものが多かった。その中で、須藤洋平の『みちのく鉄砲店』は、まったく異色なことばの世界であった。それは障害をもった身体が引き起こす孤独を引き受け、その病気の強い作用に負けない、人間としての感応力の強い詩の世界を展開している。表現としてのレベルも高く、単に私的な感慨の吐露ではなく、ことばのフィクションがよく計られた世界である。
著者 | 詩集タイトル | 出版社 |
---|---|---|
多和田葉子 | 傘の死体とわたしの妻 | 思潮社 |
大谷良太 | 薄明行 | 詩学社 |
キキダダマママキキ | 死期盲 | 思潮社 |
望月遊馬 | 海の大公園 | poenique |
須藤洋平 | みちのく鉄砲店 | 私家版 |
安川奈緒 | MELOPHOBIA | 思潮社 |
館路子 | 螢、探して | 書肆山田 |
選考委員(五十音順)
氏名 | 肩書き |
---|---|
荒川洋治 | 現代詩作家 |
井坂洋子 | 詩人 |
北川透 | 詩人・梅光学院大学副学長 |
佐々木幹郎 | 詩人 |
佐藤泰正 | 梅光学院大学教授 |
高橋源一郎 | 作家・明治学院大学教授 |
応募状況(一般応募作品240点)
全国41都道府県及び国外からの19歳から92歳までの237人から、240点の応募がありました。
最も応募が多かったのは東京都の46点、山口県内からは4点(うち山口市内なし)の応募がありました。
年代別 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80歳以上 | 不詳 |
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人数 | 2人 | 46人 | 43人 | 37人 | 60人 | 25人 | 15人 | 2人 | 7人 |
関連リンク
中原中也についての関連リンク
中原中也記念館ホームページ<外部リンク>