山口市立幼稚園・こども園PTA連合会からの要望
令和7年10月27日提出
幼児期は、基本的な生活習慣、意欲、態度などの人格形成の基礎を培う重要な時期です。近年の発達心理学や教育心理学、脳科学などの様々な研究成果において、幼児期の質の高い教育が重要であり、その後の人生においても、多面的に良い効果をもたらすことが明らかになっています。
幼児教育は量の時代から質を問う時代に入りました。令和6年10月、文部科学省は「今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会 最終報告」を策定しました。その中には「公立幼稚園は、これまでも幼稚園教育要領を着実に実施し、その専門的知見やノウハウを他の幼児教育施設に提供するなど、地域の幼児教育の質の向上において重要な役割を果たしてきており、今後もその役割を果たすことが重要である。その役割を果たせるよう、地域の実情や保護者のニーズを踏まえつつ、公立幼稚園における三年保育や預かり保育の実施、認定こども園への移行などについて検討することが必要である」と記載されています。
山口市においても、第二期山口市子ども・子育て支援事業計画の終了に合わせ、令和7年3月に山口市こども計画が策定されました。基本理念の「全てのこどもが笑顔で喜びに満ち、希望にあふれるまち山口」は継承され、安心して結婚、出産、子育てができる環境づくりに向けた様々な施策や事業が記載されています。このことを踏まえ、全ての子どもに質の高い幼児教育を保障し、一人一人の良さや可能性を伸ばしながら、生涯にわたる生活や学習の基盤となる生きる力の基礎を育む環境を備えた山口市立幼稚園・こども園となることを強く願っております。
子どもたちの未来の為、未来の子どもたちの為に、どうか、全ての子どもたちが恵まれた環境のもとで質の高い幼児教育が受けられますよう、ここに山口市立幼稚園・こども園PTA連合会の総意による要望書を提出いたします。山口市におかれましては、次の要望事項の実現に何卒格別のご尽力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
重点要望事項
・現在の子育て環境に沿った園づくり
・全ての子どもへの質の高い幼児教育の実現
・安全管理、危機管理の整備
要望事項
1.地域のニーズや個々の発達に応じた幼児教育の充実のために、次の事項について要望いたします。
(1)三歳児保育の拡充及び認定こども園への移行
令和元年より始まった幼児教育の無償化により、満三歳からの保育は子育てを行う親にとって必要不可欠となってきております。昨年度の回答では、市内の未就学児人口の減少を受け、市全体の幼稚園・保育園等の適正な施設数、定員数を検討していく必要があること、加えて地域の実情や保護者のニーズ等を踏まえ、市立幼稚園での三歳児保育の実施についても検討をしていくとありました。
先に申し上げた文部科学省の記述以外にも、3月に策定された山口市こども計画の中で、基本理念は「全てのこどもが笑顔で喜びに満ち、希望にあふれるまち 山口」とあります。一方でその中には「令和7年度以降は原則として定員拡大を伴う施設整備は行わない予定」という記述も見られます。
市立幼稚園は、現在、園児数が減少傾向にありますが、市立幼稚園の幼児教育を受けさせたいと願う在園中の保護者や今後入園を希望する保護者の思いも汲み取っていただきたいと切望しています。併せて、時代背景を鑑み、市立幼稚園の保育を継承した認定こども園への移行も要望致します。
(2)預かり保育の拡充
市立幼稚園の預かり保育については限定的・臨時的ではあるものの、預かり保育・保育時間の延長の必要性への理解に尽力いただき、感謝いたします。昨年度の回答では、私立園への影響を及ぼさない範囲で臨時的な預かり時間の延長の取り組みを実施しているとのことでした。現在、誰でも通園制度が始まる中で、幼稚園の保護者も、仕事と子育てを両立し、自己有用感が得られるような多様なライフスタイルを実現できるよう希望します。
今一度、預かり保育の緩和、拡充に向けてご検討いただき、市立幼稚園を利用する保護者の就労も条件の中に入れて頂きますよう、要望致します。
(3)保育時間の延長
水曜日の保育時間が午前保育と短く、一定の生活リズムで活動できていないというのが現状です。園児の生活リズムを整えるという観点から水曜日の保育時間を14時まで延長していただくことを要望致します。
(4)給食実施対応について
園児にとって、食べ物の役割や栄養の大切さを知り、正しい食生活を身に付けることができる給食は、重要な教育の一つです。現在給食を実施している園もありますが、食育の一環として非常に良い影響を感じています。
また、近年の気候変動により暑い時期が長く続くようになり、園児の弁当持参について食中毒などのリスクが高まっていることを懸念しております。衛生管理や安全管理の観点からも、給食の導入は園児の健康と安心につながるものと考えております。つきましては、園児が安心して食事をとれる環境を整えるためにも、給食の実施について要望致します。
(5)市立幼稚園の教育の存続について
市立幼稚園は、幼稚園教育要領を着実に実施し、地域の幼児教育の質の向上に向け、その知見やノウハウを提供するなどの重要な役割を果たしてきました。また、少人数ならではのきめ細やかな保育、地域や家庭との密接な連携、特別な支援を必要とする子どもへの柔軟な対応は、他の施設では代替が困難なものです。
昨年の回答の中で、「当面は現状維持」とのご判断をいただいたことには安堵しておりますが、「将来的な方向性の検討」という表現には、保護者として大きな不安を覚えております。人口減少や園児数の変動が見込まれる中だからこそ、公立幼稚園の存在は、教育のセーフティネットとして欠かすことができません。
これからも市立幼稚園が山口市の子どもたちにとって、安心・安全で質の高い幼児教育の場であり続けることを心より願っており、全ての子どもが笑顔で喜びに満ち、安心して出産、子育てができる希望あふれるまち山口となるため、公立幼稚園の教育の存続に向けての誠意ある対応を強く要望いたします。
2.幼児期に充実した生活を安心して送るための安全管理、危機管理の整備について次の事項を要望いたします。
(1)園児の安全管理体制
(一)園庭で日常的に使用する遊具につきましては、園児が毎日を安心して過ごし健やかに成長していけるよう、また園児の安全な保育活動のため、遊具の修繕・補強工事に向けた迅速な対応、または撤去、新たな遊具の設置を望みます。
(二)登降園時の安全性を高めるため、市所管施設だけでなく民間所有地で使用可能な場所があれば駐車場として確保していただくことを引き続き要望いたします。併せて、行事の際に安心して駐車できる場所の確保をお願いいたします。
1 地域のニーズや個々の発達に応じた幼児教育の充実について
(1)三歳児保育の拡充及び認定こども園への移行
本市におきましては、私立の幼稚園、保育園及び認定こども園といった民間事業者にも、三歳児保育を始め幼児教育・保育の重要な役割を担っていただいております。
今後、本市のこどもの人口減少が見込まれる中、その動向を見据え、持続的・安定的な幼児教育、保育サービスを行えるよう、本年3月策定の「山口市こども計画」等の内容を踏まえ、公立園が果たすべき役割について整理するとともに、保護者の皆様や地域の関係者、教育・保育施設の関係者等の御意見を伺いながら、また私立の幼稚園、保育園及び認定こども園との配置・定員バランスを考慮しつつ、公立園の在り方について検討してまいりたいと考えておりまして、三歳児保育の拡充及び市立幼稚園の認定こども園への移行につきましても、地域の実情や保護者のニーズ等を踏まえながら、併せて検討してまいりたいと考えております。
(2)預かり保育の拡充
預かり保育は、以前より私立の幼稚園及び認定こども園で実施されてきたサービスであり、市立幼稚園における実施につきましては、近隣の私立幼稚園等の民間事業者の運営への影響を考慮しながら慎重に検討いたしまして、現在、市立幼稚園においては、保護者の出産、傷病又は入院、園児の兄弟・姉妹の学校行事への参加などに利用条件を限定し、私立の幼稚園及び認定こども園への影響を及ぼさない範囲で臨時的な預かり時間の延長を実施し、必要なご家庭に活用いただいているところでございます。
預かり保育の緩和、拡充は現在考えておりませんが、臨時的な預かり時間の延長につきましては、引き続き個別に対応してまいりたいと考えております。
(3)保育時間の延長
水曜日の保育時間を14時まで延長することにつきましては、園児が一週間同じ時間帯で活動することで生活のリズムが一定に保たれるといった良い影響も考えられることを十分に認識しております。
保育時間の延長につきましては、要望の趣旨を踏まえ、引き続き実現の可能性を検討してまいります。
(4)給食実施対応について
給食の実施の有無に関わらず、食育の重要性は認識しておりまして、現在もそれぞれの園で、収穫体験や昼食・行事食を通して、食べ物を作っていただく方への感謝や食べることの大切さ、楽しさを教育いたしております。
給食の実施につきましては、施設や衛生管理等の体制整備に時間と費用が必要であるため、当面、市立幼稚園単独での計画はいたしておりませんが、要望の趣旨を踏まえ、引き続き実現の可能性を検討してまいります。
(5)市立幼稚園の教育の存続について
市立幼稚園の存続につきましては、当面現状のままとするように考えております。
こうした中、今後、本市のこどもの人口の動向を見据え、本年3月策定の「山口市こども計画」等の内容を踏まえ、公立園が果たすべき役割について整理するとともに、保護者の皆様や地域の関係者、教育・保育施設の関係者等の御意見を伺いながら、また私立の幼稚園、保育園及び認定こども園との配置・定員バランスを考慮しつつ、公立園の在り方について検討してまいりたいと考えております。
こうしたことから、すぐに新たな方針を作成することは考えておりませんが、引き続き、将来的な視点での検討は行う必要があるため、保護者の皆様と意見を交換する場を持ちたいと考えております。
2 幼児期に充実した生活を安心して送るための安全管理、危機管理の整備について
(1)園児の安全管理体制
(一)遊具について
園の遊具につきましては、安全・安心な保育環境を確保するため、例年、関係法令に基づき、定期点検を確実に行っております。また、施設の経年劣化等に対する機能維持を目的とした修繕につきましては、引き続き予算の範囲内において必要性等を勘案し、優先度を定め、適切に対応してまいります。
なお、園児の怪我につながるような緊急性の高いものにつきましては、個別に園と連絡を取り、随時対応しておりまして、引き続き安全管理に努めてまいります。
(二)駐車場について
市立幼稚園の駐車場につきましては、近隣の公共施設の駐車場や公共用地の活用を基本としております。
登園時間や退園時間に限って利用できる駐車場におきましては、園から徒歩3分の範囲内に位置する民間事業者の駐車場の有効活用について、引き続き関係先と協議してまいりたいと考えております。