山口市盲人福祉協会からの要望
令和6年8月8日提出
(1)市営住宅への優先入居について
一般の賃貸住宅は、視覚障がい者であることを理由に入居を断られることが多いため、視覚障がい者が市営住宅へ優先的に入居できる制度の創設を希望する。
(2)投票で使う点字機の鉄製への変更について
現在、投票所にはプラスチック製の点字機が設置されているが、プラスチック製は指が痛くなり、点字が打ちづらいため、鉄製の点字機への変更を希望する。
(3)点字文書の受け付けについて
山口市みんなの手話言語条例が施行され、手話は立派な言語と認められてきているが、手話と同様に点字も言語である。点字を読み上げる機器もあることから、点字による文書(要望書等)の受付を希望する。
(4)山口市タクシー利用券の追加交付について
バス停の数が少なく距離が遠い、バスが1時間に1本しか通らないなど、交通の不便な地域に居住する障がい者へ、山口市タクシー利用券を多く交付する制度改正を希望する。
(5)サイクルステーションへのタンデム自転車の設置について
平成30年4月1日から、山口県内の一般道路で二輪のタンデム自転車での2人乗り走行が可能となっている。
他の観光地ではサイクルステーションにタンデム自転車が設置されているところもある。タンデム自転車であれば視覚障がい者も晴眼者と一緒に自転車で走行することができるため、観光で売り出し中の山口市であるからこそ、サイクルステーションへのタンデム自転車の設置を希望する。
(6)相談窓口の設置について
視覚障がい者が日常生活の中で不便に思っていることや困っていることを相談できる窓口の設置を希望する。
(困りごとの例)
・白杖を使ってせめて家の周りくらいは自由に歩きたいが訓練をしてくれる人が少ない
・山口市に歩行訓練士を置いてほしい
・視覚障がい者が使える便利なデジタル機器やアプリが様々出ているが使い方がわからない
・自宅にWi-Fi環境がないために様々なデジタル機器が使えない
(7)山口県身体障がい者福祉センター周辺への点字ブロックの設置について
山口県身体障がい者福祉センターの最寄りである豊栄のバス停から、センター入口まで点字ブロックが設置されていないため、行き帰りの際に道がわからず大変不便に感じているため、バス停からセンター入口まで点字ブロックの設置を希望する。
(8)宮野中学校周辺道路の点字ブロックの設置について
宮野駅から宮野小地下道入口までの道路に点字ブロックが無く、近隣に居住している視覚障がい者が何度も危険な目に遭っているため、点字ブロックの設置を希望する。
(9)旧国道沿いの点字ブロックの補修について
旧国道(県道)の日赤入口から維新公園までの歩道に設置されている点字ブロックが老朽化しているため、補修を希望する。
(10)視覚障がい者にも施設の入口がわかりやすくする仕組みの導入について
山口市役所、湯田温泉「こんこんパーク」、地域交流センターなど施設の建替え・新設が予定されているが、視覚障がい者は入口がどこにあるか分からない。視覚障がい者向けのアプリであるナビレンスやコード化点字ブロックを設置するなど、視覚障がい者が施設の入口を容易に確認することのできる仕組みの導入を希望する。
(1)市営住宅への優先入居について
本市におきましては、特に住宅に困窮する世帯と考えられる高齢者世帯や障がいのある方のおられる世帯等を優遇枠対象者としております。
優遇枠とは、年4回の市営住宅の入居者募集において、同一団地に同一の間取りの住戸が2戸以上ある場合に、そのうちの1戸を優遇枠住戸として、優遇枠対象者のみで抽選を行い、その抽選に漏れた方は、一般枠の住戸で、もう一度抽選を行う制度でございます。
視覚障がいのある方におかれましても、同制度の要件を満たしますので、ご利用いただければと考えております。
(2)投票で使う点字機の鉄製への変更について
選挙管理委員会では、すべての投票所に点字器やコミュニケーションボードを配置するなど、障がいのある方や、高齢で体の不自由な方が安心して投票できる環境の整備に努めているところでございます。
点字器につきましては、既存のプラスチック製のものは使いづらいとの御意見をいただきましたことから、令和4年の参議院議員通常選挙から、過去に点字投票の実績がある投票所を中心に、新たに金属製の点字器を配置したところでございます。
今後とも、貴会をはじめとする障がい者関係団体の御意見を傾聴するなど、投票環境の状況把握に努め、障がいのある方が投票しやすい環境整備に取り組んでまいります。
(3)点字文書の受け付けについて
点字は、晴眼者が普段読み書きをしている文字である墨字と同じく、視覚障がいのある方にとって一人で読み書きのできる唯一の文字で重要なコミュニケーション手段であると認識しており、本市から発送する各種封筒の連絡先欄に点字も表記するなどの取組を進めているところでございます。
点字による要望書等の文書につきましては、御要望のとおり点字を翻訳する機器等を活用することにより内容の確認ができますことから、体裁が複雑で正しく文脈を読み取ることが困難なものや内容を誤認する恐れがあるものを除き、本市でも受け付けることが可能でございます。
点字文書を翻訳する機器の導入等受け付ける際の体制について、他自治体における事例も踏まえ研究してまいりたいと考えております。
(4)山口市タクシー利用券の追加交付について
山口市タクシー利用券につきましては、初乗り運賃の値上げへの対応や更なる外出支援として、令和6年4月から、タクシー料金1,000円に対する助成額を300円から400円に引き上げ、1回の乗車で利用できる金額を増額したところでございます。
現在、身体障害者手帳の1級から3級の方につきましては120枚、4級から6級の方につきましては60枚のタクシー利用券を交付しているところでございます。また、腎臓機能障害で人工透析のための通院をされている方には、通院回数に応じて追加で交付しております。
こうした中、公共交通の不便な地域にお住いの方など早期にタクシー利用券を使い切ってしまう方からは、交付枚数の増加について要望をいただいております。
公共交通に対する課題につきましては、タクシー利用券だけで解決することは困難と考えておりますことから、タクシー利用券の利用状況等を踏まえ、コミュニティタクシーやグループタクシー制度などの交通施策の取組を含めまして、今後の制度設計について検討してまいりたいと考えております。
(5)サイクルステーションへのタンデム自転車の設置について
タンデム自転車は、視覚障がいのある方や高齢者の方々を始め、誰もが自転車の楽しさを体感することができる乗り物であると認識しております。
こうした中、国におきましては、自転車活用の取組の強化を進められている中で、タンデム自転車を始めとした、障がい者、高齢者等にも対応した様々な自転車の普及を更に進める必要があるとされております。
また、県におきましては、「誰もが、県内各地で、四季を通じて、サイクルスポーツを快適に楽しむことができる山口県」を目指した「サイクル県やまぐちProject」を推進されており、県内各地にサイクルエイドやサイクルステーション等を設置されますとともに、タンデム自転車のレンタルを萩市で実施されているところでございます。
本市といたしましては、障がいの有無にかかわらず、すべての観光客の皆様の満足度向上に向けた取組が必要であると認識しているところでございますので、国や県等の方向性や取組を踏まえつつ、タンデム自転車の有効性について研究してまいりたいと考えております。
(6)相談窓口の設置について
現在本市では、山口総合支所に「福祉総合相談窓口」を設置しており、障がいのある方等からの障害福祉サービスの利用等に関する相談や手続の窓口業務を行っております。
こうした中、視覚障がいのある方が日常生活において不便に思っていることや困っていることは様々であり、貴会をはじめとする障がい者関係団体、医療機関や教育機関等の専門機関、福祉サービスや福祉機器を扱う事業所等、各分野を専門に取り扱う方による対応のほうが、より効果的な解決につながることも多くございます。
そのため本市といたしましては、相談内容に応じて関係機関と情報共有を図る等、福祉サービスや専門機関と連携し、御相談いただいた方の課題解決につなげてまいりたいと考えております。
(7)山口県身体障がい者福祉センター周辺への点字ブロックの設置について
豊栄バス停が位置する県道から山口県身体障がい者福祉センターまでの市道につきましては、沿道に医療、福祉施設が立地する重要な道路でありますことから、歩道の段差解消とあわせて、点字ブロックの設置について検討してまいります。
(8)宮野中学校周辺道路の点字ブロックの設置について
御要望の区間につきましては、宮野駅から県道宮野大歳線の宮野駅前交差点までの区間が市道、宮野駅前交差点から宮野小学校地下道入口までの区間が県道でございます。
本市が管理いたします宮野駅から県道宮野大歳線の宮野駅前交差点までの市道部分につきましては、現在、歩道の舗装幅が狭く点字ブロックの設置に必要なスペースの確保ができないことから、直ちに設置することは困難でございます。
また、宮野駅前交差点から宮野中学校周辺までの県道部分への点字ブロックの設置につきましては、県に対し、本要望を伝えてまいります。
(9)旧国道沿いの点字ブロックの補修について
御要望の区間につきましては、県道でございますことから、道路を管理しています県に対し、本要望を伝えてまいります。
(10)視覚障がい者にも施設の入口がわかりやすくする仕組みの導入について
本市では、公共的施設のバリアフリー化を進めるに当たり、障がいのある方等誰もが利用しやすい環境を進めていくユニバーサルデザインの視点に立ち、広く意見を反映させるため、山口市ユニバーサルデザイン推進検討会を設置し、障がい福祉団体等の委員の皆様から御意見をお伺いしているところでございます。
市役所本庁舎や湯田温泉パークの整備、地域交流センターの建て替えに当たりましても推進検討会を開催し、委員の皆様からナビレンスやコード化点字ブロックの設置を含む様々な御意見をいただいており、利用者にとって安全で使いやすい施設となるよう、担当課におきまして可能な限り反映できるよう検討しているところでございます。
今後も、設計段階や完成前の現地確認などの機会を捉え推進検討会を開催し、誰もが使いやすい施設となるよう努めてまいりたいと考えております。