山口県農業試験場の跡地利用に関する意見・要望と回答（山口商工会議所）　

　令和5年4月に「農林業の知と技の拠点」（防府市）に移転・統合される山口県農業試験場跡地について、山口市の主要計画等に基づくまちづくりの方向性を踏まえ、地域が抱える諸課題や地元要望を踏まえた施設や機能の導入に向けて「農業試験場等跡地利用検討協議会」にて検討が進められているところです。

　山口市大内地区は、高次都市機能の集積・強化等を進めている山口都市核を中心とした山口都市拠点の中でも、防府市との幹線ルート沿いに位置し、居住誘導区域として人口を集積させる重要なエリアとなっています。新しいライフスタイルを提案するモデル地区として、跡地利用には経済界も大いに期待しています。

　一方で、山口都市核と小郡都市核を中心としたエリアは、高次の都市機能や生活関連機能が集積する都市拠点と位置付けられており、本所においても両都市核への公共施設や商業機能の集積により経済の効率化、活性化が期待できるコンパクトシティを推進してきました。両都市核における人口は増加傾向に転じ、さらに中心商店街においては空き店舗率が10％を切るなど、コロナ禍でも出店希望者が途絶える事無く、とても注目を集める状況になっております。官民一体となった個性あふれる地域づくりの長年の努力がようやく実を結び始めた所です。今後もこの流れを途絶えさせること無く、さらに強化していくためにも、とりわけ山口都市核を支える都市拠点としての大内地区においては、高次都市機能や生活関連機能の集積が図られるような、新しい取り組みへのチャレンジも進めて頂きたく考えております。

　就きましては、下記のとおり山口県農業試験場跡地利用について、意見書（要望）を提出させて頂きたいと存じます。貴市の格段の御配慮、御支援をよろしくお願い申し上げます。

記

１） 山口都市核の周辺市街地である都市拠点としての機能・役割分担
　日本各地で大型商業施設の出店が急増し、地元商店街による大型商業施設の進出反対運動が激しさを増していた時代を経て、大規模小売店舗法の改正、商工会議所に設置される商業活動調整委員会による出店調整、大店法にWTO協定違反の疑い等を経て、まちづくり3法の一部として商業施設の立地に関する法律（大規模小売店舗立地法）が整備されてきた。山口市においても平成初期に郊外大型商業施設の進出に伴い、中心商店街の空洞化が進み、各店舗はきわめて厳しい環境に置かれた。この様な経緯を踏まえ、大内地区には広範囲から集客する大型商業施設ではなく、都市拠点として生活関連機能の充実を図って頂きたい。
　また、農業試験場跡地には若者・子育て世代を惹きつけ、豊かなコミュニティが幅広い世代で広がるような、山口の未来を牽引する施設や機能の充実を図り、大内地区全体の居住環境としての魅力を高め、山口都市核を支える都市拠点として、都市機能の充実につながるよう検討して頂きたい。

２） 諸課題対応
　県道山口防府線等の慢性的な渋滞を解消する道路拡張などの施設整備、昨今の豪雨による水害も多発するエリアであり、治水対策など安心して生活できる事業を優先し整備して頂きたい。
　渋滞対策については、例えば、周辺道路の機能強化や住宅用道路と施設利用道路エリアの分離などによる道路整備について検討して頂きたい。
　治水対策については、例えば、農地を部分的に活かした治水機能の維持について検討して頂きたい。また、その農地を就農体験などに活用して頂きたい。

３） 新しい取り組み
　スマートシティ、脱炭素といった先進的であり、持続可能な社会を目指すうえで大きな社会実験ができるエリアであることを踏まえ、チャレンジングな取り組みを推進して頂きたい。
　例えば、先進インフラ実証地域として脱炭素、防災・防犯など備えたインフラの確保やスマートシティモデル地域としての取り組みについて検討して頂きたい。