平成31年4月29日(月・祝)、新人詩人の登竜門とされる第24回中原中也賞贈呈式を、湯田温泉ユウベルホテル松政で行い、詩集『する、されるユートピア』で受賞された国語教諭、井戸川射子(いどがわいこ)さんに、賞状(山口萩焼の陶板)や正賞(中也のブロンズ像)、副賞を贈りました。
同賞は中也の業績の顕彰を目的に1995年に創設。今回は全国から218点の応募・推薦がありました。
受賞作は井戸川さんの第一詩集で、昨年9月に私家版として刊行し、「母の死」をテーマに22編を収められました。高校の授業で、詩を教えることの難しさを実感したことから、2年ほど前に詩を作り始めた井戸川さん。雑誌への投稿を続けるも、仕事が忙しく辞めようと思っていた矢先、投稿先からのアドバイスで今回受賞作となった詩集をまとめられました。高校2年生の時に祖父が死去したという実体験を元にしたことを明かし「祖父が好きだった中也の賞をいただき、格別な思い。生徒にも言っているが、感情は言葉にしないと伝わらない。でも伝えきれないという揺らぎが詩集に出ている」と作品について語り、「これからも感情を表せる詩を中心に書いていきたい」と抱負を述べられました。
選考委員で詩人の佐々木幹郎(ささきみきろう)さんは、死に関する直接的な表現がない点を挙げ「感情を客観的に、点描のようにつないでいる。日本の詩では特異で、これからどう育つのか楽しみ」と選評を述べられました。
市長は、「さらなる飛躍の一歩とし、素晴らしい作品を次々と生み出されることを期待している」と激励しました。
市では、今後も多くの皆さんに、さまざまな文化や芸術等に親しんでいただけるよう努めてまいります。
ブロンズ像を贈る市長(左)と、受け取る井戸川射子さん(右)
受賞された井戸川射子さんに、お祝いの言葉を述べる市長
式典の様子
文化交流課 Tel 083-934-2717