令和8年4月29日(水曜日・祝日)、現代詩人の登竜門とされる第31回中原中也賞贈呈式を、湯田温泉ユウベルホテル松政で行いました。同賞は中也の業績の顕彰を目的に1995年に創設し、今回は全国から267点の応募・推薦の中から、成清朔(なりきよさく)さんの詩集『彼方の幽霊』が受賞されました。
受賞者の成清さんは「『彼方の幽霊』の制作の動機のひとつは、生きてゆくための勇気となることでした。いつかの自分にとって、あるいは、ここにある詩にいつか出会う誰かにとって。それは、自分がここに在ってうれしいと思うものに対する気持ちでした。ほんとうには触れることができなくとも、その存在は、自分の手を握ってくれるような、そっと背中を押してくれるような、その体温が伝わってくるような心強さがあると信じています。自分には、その勇気によって生きることのできた時間が少なからずあり、その地続きの時間のなかで、ことばを見つけてゆくことができたと思うからです。他のどんな言葉よりも、詩のなかでだけ話せることが自分にはあること、それは「They」という詩を書いたときに覚え、それから自分が詩を書くということの水源になっているものです。自分にもことばがあるということ、それをつよく感じられることは喜びでした。詩がここに在ってよかったです。自分が生きていくというそのことの側で出会うことができて。だからこそ、この先も自分は書いていこうと思います。」と受賞者あいさつの言葉を寄せられました。
選考委員で詩人の蜂飼耳(はちかいみみ)さんは「成清さんの詩集は、新鮮で鮮やかで、そして今の時代の空気をとらえている。私たち生きている人間の身体の一般的な視点と個人的な視点が交錯するところを繊細で細やかに言葉に表し置き換えており、たくさんの心を打つ詩句がある」と選評を述べられました。
また、市長は「真摯に自分自身と向き合われ、自分の中にある言葉を見つけて詩を創作される中には、大変な努力や葛藤があったのではないかと思う。こうして編まれた詩集『彼方の幽霊』が、多くの方に言葉を届け、詩の持つ魅力や奥深さを伝えるとともに、詩の世界を志す多くの新人詩人の方々にとって大きな希望を与えていただけたものと確信している。成清様におかれましては、この賞をさらなる飛躍の一歩として、今後も言葉と向き合われ、詩作に取り組まれることを大いに期待している」と激励しました。
なお、中原中也記念館では、5月17日(日曜日)まで「第31回中原中也賞 成清朔氏『彼方の幽霊』特別展示」を開催しています。
・中原中也館ウェブサイト<外部リンク>
贈呈式の様子
主催者挨拶の様子
文化交流課 Tel 083-934-2717