平成30年10月26日(金曜日) 11時00分から11時45分
山口総合支所 第11会議室
昨年度に山口大学と協働で発掘調査を実施いたしました、平安時代の貨幣鋳造所であります「史跡周防鋳銭司跡」第3次調査につきまして、平安時代の貨幣である「長年大宝」銭が見つかり、大変重要な発見でありますことから、御報告させていただきます。
ただ今、御紹介しました「長年大宝」銭は、848年から859年にかけて「周防鋳銭司」で作られたとされる貨幣でございまして、出土した時には、1つの塊で、土と錆とに覆われておりました。その後、奈良市にある文化財の研究機関、公益財団法人元興寺文化財研究所の御協力により、「長年大宝」銭5枚と貨幣の小片が錆で重なっているものであること、貨幣をつくる際に失敗した「鋳損じ銭」である可能性が高いことが明らかになりました。
鋳損じた「長年大宝」銭が、複数枚もまとまって見つかることは極めて稀であり、歴史史料に記された「周防鋳銭司」の鋳銭工房が出土地周辺に存在したことを、さらに裏付ける重要な発見となりました。また、はじめて史跡から完全な形で出土し、「周防鋳銭司」でつくられた「長年大宝」銭が明らかになりましたことから、古代の貨幣史や平安時代の貨幣生産技術を明らかにする上でもきわめて重要な発見となりました。
今回の「長年大宝」銭につきまして、今後、さらに詳細な調査を進めてまいりますので、原材料の産地がどこかなど、さらなる新しい発見に期待するところであります。また、10月27日(土曜日)から11月3日(土曜日)まで、鋳銭司郷土館において特別展示をいたしますので、ぜひ、多くの皆様にお越しいただき、1200年前の、古代の息吹を感じていただければと思っております。
山口市立中央図書館は、平成15年11月に開館して以来、「どんな時も 身近に役立ち 出会いを大切にする図書館」として気軽に立ち寄れる、資料が豊富にある、様々な相談に対応できる、学校や地域でも活躍する図書館をめざして多様なニーズに応えてきたところでございます。本年、中央図書館が開館15周年を迎えるにあたり、第三次山口市立図書館サービス計画に位置づける「まちじゅう読書推進プロジェクト」を展開することといたしております。
本事業のコンセプトは、「いつでもどこでも本のあるまち」としておりまして、本が新たな人の流れを創出し、まちを活性化する新しい図書館づくりを進めます。展開の第一段として、中央図書館のエントランスや共同利用スペースを「活動の見える」場としてリニューアルし、交流や活動のイメージを市民と共有します。
エントランスのリニューアルにあたりましては、図書館という空間の魅力を高め、市民のサードプレイスとしての環境づくりを進めるとともに、市民交流の場として役割を果たす施設とすることを目的に、エントランスエリア内の既存書架等の再配置や閲覧席を新しくするなどして、快適で落ち着いた雰囲気、外から入りやすく集いやすい空間に整備いたします。このほかにも、お茶を飲んだり、セミナーやワークショップ、あるいはライブラリーコンサートなどが開催できたりする空間を確保することで、これまでの図書館とは異なる、新しいスタイルを目指します。
一方、共同利用スペースのリニューアルといたしましては、「グループ研究室・情報検索室・ボランティア室」の3室を一つの空間として少人数から多人数まで、テーマに応じた講座やセミナーの利用が可能となるように整備いたします。リニューアルの整備のため、平成31年2月1日から3月中旬まで休館期間を設けさせていただきます。なお、オープニングセレモニー等は、詳しいことが決まり次第、お知らせをいたしますが、図書館休館中も予約していただいた本の貸し出しや返却は可能ですので、ぜひ、御利用いただきたいと存じます。
こうした、エントランスや共同利用スペースのリニューアルのほかにも、山口市総合計画で目標としていた蔵書70万冊を昨年達成いたしましたことから、さらに、図書館以外の場所でも本に出会うことができる環境づくりに向けて、「まちじゅう図書館」を新たに展開し、まちに本が飛び出す図書館活動を展開してまいります。
具体的には、市内のカフェや商店など、人が集まる場所で図書館の本を手にとっていただく取り組みとして、「サテライトライブラリー」を設置することといたしておりまして、現在、試行として市内6箇所のカフェに、50冊から60冊の本を毎月届けております。来年度からは、カフェ以外の多様な場所にも拡大し、本を身近に手にする機会を提供することといたしております。また、サテライトライブラリー設置に協力していただいている事業者様には、リニューアル後のエントランスの交流スペースや共同利用スペースを活用して、図書館を舞台に、事業者の専門性を生かしたセミナーや講座を開催することにより、新たな学びや活動の場が創出されることを期待しております。
本に興味を持っていただくため、また、市民の皆様の読書活動が活発になりますよう、様々な取り組みを今後とも展開してまいります。目指すのは、「日本一 本を読むまち」づくりです。