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老人福祉施設に係る要望書(山口県老人福祉施設協議会からの提出)

印刷ページ表示更新日:2023年12月7日更新 <外部リンク>

山口県老人福祉施設協議会からの要望
令和5年11月24日提出

要望

 

 老人福祉施設は、高齢化の進展により要介護者や認知症高齢者等が増加する状況の中で、山口市との密接な連携の下、地域の振興及び福祉の充実に積極的な役割を果たしております。
 つきましては、老人福祉施設に係る次の項目について要望いたしますので、格別の御理解と御支援をお願いします。

重点要望事項

【老人福祉施設全般】
(1)物価高騰等について
 各老人福祉施設においては、ここ数年の新型コロナウイルスへの対応のための様々な負担に加え、このたびの物価高騰が経営に大きな影響を及ぼしている。
 特に、老人福祉施設の運営財源は介護報酬や措置費、国庫補助金等の公的価格であり、諸物価の上昇を消費者(利用者)に転嫁できる仕組みとはなっておらず、また、現行の公定価格には現下の急激な物価上昇といった事態は全く折り込まれていない。
 このため、今後も物価高騰が長期化すれば、老人福祉施設の運営はさらなる打撃を受けることとなり、老人福祉施設としての使命と役割を果たしていくことが困難となる恐れがある。
 ついては、介護報酬や措置費等の施設運営に係る各種公的価格に物価高騰の影響を適切に反映させることが必要であり、各自治体におかれては、物価高騰等が老人福祉施設の運営に影響を生じさせないための支援をお願いしたい。

(2)老人福祉施設における新型コロナウイルス感染症対策について
[1]施設での集団感染防止策として、施設職員や入居者等に対して、必要なときに必要な検査がすみやかに受けられるような検査体制の維持(検査キットの現物支給や無料・低額での検査等)をお願いしたい。
[2]施設において、感染者・濃厚接触者が発生した場合に備えて、各施設で用意しにくい「防護服(ガウン、キャップ等)」について、引き続き備蓄していただき、必要なときに支給していただきたい。
[3]新型コロナウイルス感染施設となった場合、経営的にも非常に厳しい状況に陥る。また、施設では日々、感染施設とならないために感染症対策を徹底的に行っており、必要経費も嵩んできている。事業継続するための制度の構築やかかり増し費用に対しての支援を引き続きお願いしたい。
[4]今後も続くと考えられるワクチン接種について、すべての老人福祉施設関係者が円滑に公費負担で接種できるような体制を引き続きお願いしたい。
[5]施設においては他の入居者、職員への感染リスクや医療設備がない中で急激に症状が悪化した際の対応等を考えると不安が大きい。施設クラスターとならないためにも感染者について速やかに入院できる体制の充実や宿泊施設等での療養体制のさらなる確保をお願いしたい。

(3)福祉人材確保について
 福祉関係の専門学校は、生徒の減少で卒業者は少なく、かつ県外への流出も多い。また、県内の市町の中には、介護関係の専門学校がなくなる等も生じており、今後の介護人材確保に大きな不安を感じている。
 こうした中、介護現場に対する負のイメージを一新し、仕事の魅力ややりがいを発信していくためには、学童・生徒及び教員に介護職員の仕事内容、専門性や魅力など、具体的な現場の声を伝えるとともに、小中学校への福祉教育や高校生の体験学習、教員との協議の場などの更なる充実が必要である。
 本会や各施設での個別な取組では限界があり、進路指導で誤ったイメージによる指導が行われないよう、学校・行政・社会福祉法人等の官民が一体となって進めていけるような取組を本会と協議し、対策を講じていただきたい。

【養護老人ホーム】
(1)老人保護措置費に係る支弁額等の改定について
 厚生労働省(以下、厚労省)は、養護老人ホームについては、「老人保護措置費に係る支弁額等の改定について」(令和3年12月24日老高発1224第1号)において、養護老人ホームに勤務する職員について、必要な処遇改善を図ることができるように、各自治体へ老人保護措置費に係る支弁額等の改定をお願いした。その後、厚労省において各自治体の対応を調査した結果、養護老人ホームは約85%の自治体において、改定を実施したか、又は、改定を実施する見込みという結果となった。
 令和4年度から、地方交付税措置が講じられており、各自治体の判断で対応できるため、本県の市町において上記厚労省調査を踏まえ対応をお願いしたい。

要望事項

【老人福祉施設全般】
(1)地域事情に応じた施設整備の推進とサービスの質の担保について
 サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームが急増しているが、極端な施設増加が、利用者の奪い合いを招き、身体状況等に応じた適切なサービス利用につながらない等の問題が生じ、介護の質を低下させることにもつながっている。
 地域事情に応じて、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム等の総量規制を行うなど、適切な施設整備を進めていただきたい。
 なお、歴史的転機における財政(令和5年5月29日財政制度等審議会)においても、「サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」という。)等では、依然として、画一的なケアプランや過剰なサービス等の問題事例が見つかっており、ケアプラン点検を通じた見直しも不十分な状況となっている。訪問介護等についても、利用者が同一建物に集中している場合には、一層の減算を行うことで適正化を図るべきである。」などの指摘がある。各市町において、サ高住による過剰なサービス提供により公費・保険料の貴重な介護保険財源が無駄に使われていないか調査するとともに、調査結果に応じて適切な対応をお願いしたい。

(2)一貫性のある指導監査の実施について
 社会福祉施設指導監査において、所轄庁の指導が地域により異なる規制や必要以上に厳しい規制(ローカルルール)が見受けられる。監査員による指導内容の差異がないよう、「指導監査チェックリスト」等に基づいた、一貫性のある指導監査となるようお願いしたい。

【養護老人ホーム】
(1)措置費の見直し
 養護老人ホームは、平成17年度以降地方分権により権限が市町村に委ねられ、措置費・事務費等の財源も一般財源である地方交付税として受けている。
 養護老人ホームの職員には介護保険事業所職員向けの処遇改善加算等の処遇改善のための制度もなく、同じ法人内でも職員間の賃金格差が起きている。賃金構造基本統計調査等に基づく資料では、令和2年の月収平均は全産業の平均が406.1千円、特別養護老人ホーム352.9千円、養護老人ホーム(特定施設) 296.8千円、養護老人ホーム(一般) 292.4千円となっており、養護老人ホーム(一般)の平均月収は、全産業平均に対して▲114千円、特別養護老人ホームに対して▲60千円という状況である。
 養護老人ホームは、入所者の高齢化、重度化に加え特養化が進行し、社会の変化に取り残された多様な生活困窮者の対応等で職員の業務も高度化・複雑化してきており、現状の配置基準では夜間を含め対応が困難となってきている。
 定員割れをしていても、職員を減らすわけにはいかず、事業を継続するためには、実質17年間据え置きとなっている措置費の引き上げが急務である。
 山口県内における最低賃金の推移をみると、令和5年度の928円は平成18年度の646円と比較すると43.6%の上昇となっており、一方全国最低賃金の加重平均は、1,004円になった。大手企業が基本給の大幅アップを図っており、どの業種も人手不足のなか養護老人ホームの給与水準は低いままであり、他の施設以上に職員の採用、補充が困難になってきており、定着にも支障がでている。
 最低賃金の上昇や昨今の物価高騰を踏まえた事務費・事業費等の早期の抜本的な見直し引き上げが今なされなければ事業継続が困難な状況にある。
 資本主義社会における高齢者のセーフティネットとしての役割を担う養護老人ホームが健全な運営を行い、かつ、養護老人ホームで働く職員の働く意欲を高める為にも早急に措置費の見直し、引き上げをお願いしたい。

(2)適正な入所措置の実施について
 山口県内の養護老人ホームの定員は、過去5年間で1,290名から1,150名と140名減となり11%も減少している。定員減とした施設は、5施設にのぼり、1施設は定員割れもあって建て替え計画を断念し、休止となっている。
 全老施協の令和3年度の調査では、養護老人ホームの全国平均入所率は88.9%に対して、山口県の平均入所率は85.9%と全国平均以下であった。収支状況は悪化し赤字が常態化している施設が大半であり、どの施設も将来展望に不安を感じており危機感を持っている。最近は、DVからの避難や更生施設からの入所、家賃滞納や電気・ガス・水道等生活インフラの停止のためゴミ屋敷となってからの入所や借金を抱えての入所も多くなっている。施設は、定員数在籍することを前提として職員を配置しており、多くの施設が入所率の低下が止まらず、入所者の在所期間が短くなり定員割れが常態化したまま、赤字経営を余儀なくされており、経営不安を抱えている。
 県内市町別措置状況をみると、自治体によって高齢者人口に比較してその措置率に大きなばらつきがある。行政として養護老人ホームへ本来措置される対象者である生活困窮者の積極的把握と早期の入所措置が講じられるよう地域ネットワークを強化し、養護老人ホームの機能を最大限活用していただき、入所率アップに努めていただきたい。
 養護老人ホームが抱えている措置費の問題と定員割れの常態化についての現状をご理解いただき、地域における老人福祉計画の中での養護の位置づけ、将来像等についても開示いただきたい。

(3)大規模修繕等について
 養護老人ホームの施設整備については、令和2年に令和5年度までの期限で「『介護離職ゼロ』の実現に向け介護施設等の新規整備を条件に行う広域型施設の大規模修繕・耐震化整備」により補助することとされた。しかしながら、高齢者の人口がピークを迎えつつある地域や労働人口が減少し、既存の事業の運営にも影響が出ている地方都市では新規の事業を展開することは困難である。また、措置施設の運営費の弾力運用の要件は「施設監査において、適正な施設運営が確保されていると認められること(特に利用者及び職員に対する処遇が適正に行われていること)」とされているが、介護保険施設の職員との大きな賃金格差がある状況は適正な施設運営が行われているとはいいがたいと思われる。さらに、適正な運営を条件としての弾力運用では、過度な資金保有を防止する観点から、当期末支払資金残高は運営費(措置費)収入の30%以下の保有を目処とされており、大規模修繕や建替えのための積み立ては困難である。また、措置費には減価償却費が含まれていないので、会計処理上は減価償却費を計上しますが減価償却費相当の積み立てをすることは出来ません。
 現状のままでは養護老人ホームは施設のメンテナンスや建替えは出来ないため、養護老人ホームの修繕等に対する補助金制度を創設していただきたい。

(4)加算について
[1]障害者等加算の見直し
 障害者等加算の支給は、4月1日時点で介護度を持たない利用者に占める障害者の割合(30%以上)で決定される。
 障害者への支援内容は障害の種類や程度により様々で、利用者に占める障害者の割合で支援の量を図ることは出来ない。また、介護保険制度を利用できる障害者は対象外となっているが、一日の全てを介護保険制度の庇護のもとで生活しているわけではなく、ほとんどの時間は、養護老人ホーム職員の支援で生活をしている。
 障害者に対する支援の困難さは、障害を持つ利用者の多寡や介護度の高低では量りきれず、障害者加算について、障害者の割合制限の緩和や介護度を持つ者も対象とするよう検討して頂きたい。また、4月2日以降に入所した者は障害者加算の対象であっても、障害者加算は適用されないため、在籍する障害者加算の対象となる障害者全てに加算を適用していただきたい。
[2]支援員等に対する処遇改善のための加算の創設
 養護老人ホームの支援員等は、近年、介護度の重度化や精神疾患等の障害を持つ入所者の増加により多様性が進む中、15:1の配置基準で支援を行っている。介護度の重度化や精神疾患等を持つ者が増加したことにより、支援員等の業務は排泄や入浴の介助等の身体介護や日常生活等の問題点を解決するための相談支援業務が増加し、介護職や福祉・介護職と同様の業務を行いながら、処遇改善加算等に相当する賃金改善の制度がないため、職員の処遇が適正に行われるよう賃金改善のための支援をお願いしたい。
[3]その他の加算
ア 通院支援の加算
 養護老人ホームの入所者の通院の対応は、原則身元引受人が行っているが、身元引受人が遠隔地に居住する者や市町の福祉事務所長の場合は、施設の職員やヘルパーが通院の支援を行っている。高齢者や認知症、精神疾患等の障害を持つ者は、病院での受付や支払い、症状の伝達、医師の指示事項等の理解が困難であり、通院の付き添いに要する時間は長く、通常業務にも大きな影響が出ている。
 そのため、通院時の支援について加算の創設を検討して頂きたい。
イ 入所時の加算
 新規の入所者が安心して安全に生活が出来るように、支援員等は入所時にはその属性を理解し施設内での生活が円滑に進むよう支援し、住所変更等の諸手続きの代行やその支援も発生する。入所時には通常業務以外の様々な業務が発生し、新しい生活環境に慣れるまで追加の支援が発生するため、入所時初期加算の創設を検討して頂きたい。

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