雲谷庵短歌募集 入賞作品のお知らせ(市歴史民俗資料館「雲谷庵展」関連企画)
「雲谷庵で歌会を」入賞作品の発表
山口市歴史民俗資料館「雲谷庵展」(令和2年10月10日~12月6日)に合わせて募集した、「雲」「谷」「庵」の字を含む短歌の募集について、以下のとおり入賞作品が決まりました。選歌及び大賞選評、講評は、山口県出身の歌人・島田幸典さんです。たくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。 (以下、敬称略)
<大賞> 老二人柿の若木を植ゑ終へてしばらく聞きぬ谷川の音 石川 惠美子(山口市)
■大賞選評
柿の木を植えた後の休憩のひとときである。四句まで述べたところでいったん切れを置くことで、結句への注意が促され「音」の印象が引き立つ。谷川の流れに向かい、水音に耳を傾ける二人の後ろ姿が見える。
<優秀賞> さよならと夕焼け雲がつぶやいて次第に闇の中に入りゆく 弘兼安雄 (岩国市)
<優秀賞> きっちりと山折り谷折りたたまれた地元紙につく母の白髪 やーくん (神奈川県)
<優秀賞> 戸口には庵主が書いた留守の札茄子と胡瓜を置いて立ち去る 澄海 (愛知県)
<佳 作> もみじ谷の青葉のあわいに薄雲がモザイクのごとひたと嵌まりぬ 須山佳代子 (岩国市)
<佳 作> 軽四のライトの照らす光る眼のうり坊五頭暗谷に消ゆ 山本明 (千葉県)
<佳 作> 雪舟庭の野点の傘の影奪い雲のひとひら静かに滑る 永井すず恵 (光市)
<佳 作> 春の野に吾子と浮雲指差してイルカと言えばクジラと返す 熊本芳郎 (周南市)
<佳 作> 席替えしいつものように窓を見る廊下側の席雲まで遠い 宮下真央 (東京都)
<佳 作> 一身に愁いを集めし蟀谷に手をやる母の瞳は見えず 丘 光生 (京都府)
■講評
題が設けられているにもかかわらず、独自の把握や自由な発想によって、作者の目や心の動きをいきいきと感じさせる歌に出会うことができた。とくに表彰の対象とした十首は、家族とのやりとりや印象的な日常の一コマを鮮やかに描いている。
身近な素材であるせいか、三つの字のうち「雲」を選んだ歌が比較的多かった。「谷」「庵」も含め、言葉に染みついた特定のイメージに囚(とら)われないようにするには、自己の経験や実感をよく見つめ、それに即して丁寧に詠うのが基本である。短歌という詩型はその時見たもの、感じたものを簡潔な言葉で深く細やかに捉え、留める助けとなる。このたびの企画が歌を作る、また読む喜びに触れる機会になればと思う。
応募作品の展示について
入賞作品及び応募いただいた作品は、以下のとおり展示します。ぜひ足をお運びください。
◇入賞作品
山口市歴史民資料館「雲谷庵展」の中でパネル展示します。
<期 間> 令和2年10月10日(土曜日)から令和2年12月6日(日曜日)まで
※月曜日(祝日の場合は翌日)休館
◇応募いただいた皆さんの作品
山口市指定史跡「雲谷庵跡」(天花一丁目12-10)でパネル展示します。
入賞作品を含め、応募いただいた方全員の作品を展示します。
※2首応募された方は1首のみとなります。
<期 間> 令和2年10月24日(土曜日)から令和2年12月6日(日曜日)まで 午前9時~午後5時開館
「雲谷庵跡」紹介パンフレット [PDFファイル/1022KB]
応募状況について
応募条件を満たした審査対象作品の応募状況は、以下のとおりです。
応募作品総数 542首
応募者数 300人
居住地 34都道府県(山口市内71人、山口県内の他市町110人、山口県外119人)
年齢層 9歳~93歳(平均年齢58.8歳)