椹野川河口干潟やその周辺にに生息するの生き物たちを紹介します。(データ及び写真提供:椹野川河口・干潟自然再生協議会、山口県環境保健センター、山口県立きらら浜自然観察公園)
現在までに、関係各機関の調査により、212種類の生物が確認されており、そのうち45種が環境省、他府県のレッドデータブックに掲載されており、山口湾では、豊かな生物多様性が保全されています。
カブトガニ(成体)
カブトガニ目カブトガニ科
約2億年前から形を変えておらず「生きている化石」と呼ばれ、生物学的にも貴重な生物。半円形の前体、鋭い棘を備えた六角形の後体、尾剣の3部分からなる。
銅の成分を含む淡い青色の血液は、医薬品の検査薬として活用されており、ヒトの命を救うことにも貢献している。
絶滅危惧1類(環境省レッドデータ)
カブトガニ(幼生)
カブトガニ目カブトガニ科
幼生の時期は干潟で、成体になると沖合で過ごす。活動は干潮前から最干潮の数時間のみで、1日のほとんどは干潟に潜っている。脱皮を繰り返して成長し、1回の脱皮で1.2から1.4倍大きくなる。繁殖できる成体になるまで10年近くかかる。
絶滅危惧1類(環境省レッドデータ)
カブトガニ(つがい)
カブトガニ目カブトガニ科
山口湾は比較的繁殖状況が良い貴重な地域で、6から8月には海岸で産卵中の“つがい”が観察できる。
産卵には、泥がまざらず、粒の小さすぎないきれいな砂地が必要。過去には瀬戸内海と九州の一部に幅広く生息していたが、干潟の埋立てなどにより数が激減している。
アカテガニ
十脚目ベンケイガニ科
海岸や河川に多く生息し、ベンケイガニ科の一種。
名前のとおり赤いハサミを持ち、甲羅は灰緑色で、眼に近い部分は鮮やかな黄色。岸近くの土手などに巣穴を作って生息しているが、カニの中でも乾燥に強く、人家などにも出没する。
シオマネキ
十脚目スナガニ科
甲羅の幅は30~40ミリ程度。オスは片方のハサミが大きく、その先端は白色で根元は赤色。地表にいるときは、長い眼をつき立てて周囲を見渡す。逃げ足がとても速く、素手で掴まえることは困難である。
ハクセンシオマネキ
十脚目スナガニ科
シオマネキの一種で、白っぽい体色をしており、オスは片方のハサミが大きい。繁殖期の夏には、オスがハサミを振る“ウェービング”が見られ、この様子が白い扇子を振るように見えることから、この名が付いた。「山口県きらら浜自然観察公園」の干潟に多く生息する。
ヤマトオサガニ
十脚目スナガニ科
干潟の中でも水が残る場所で見ることができる。特徴は長方形の甲羅で大きさは40ミリ程度。オスはメスよりも大きなハサミを持ち、ハサミを持ち上げて大きく広げる行動を取る。
アシハラガニ
十脚目モクズガニ科
甲羅の幅30ミリ程度だが、四角ではなく、両目の付近は窪んでいるのが特徴。体色は青色に近い黄色。ハサミは左右で同じ大きさで、太くて丸い。
マメコブシガニ
十脚目コブシガニ科
2cm程度の固い殻を持つ小柄なカニ。小さな体と丸っこい殻で、イベントの観察会では大人気。カニは横歩きというイメージをくつがえす、前にも歩くことができるカニ。
ハサミシャコエビ
成体の体長でも数cm程度。体の色はオレンジ色が強い。はさみは左右ともに同じ大きさで同じ形、無数の毛が生えている。泥の中に数十センチの巣穴を掘って生活している。巣穴の入り口は掘り出した泥で高くなっている。
オサガニ
長い眼柄と横長の甲羅が特徴。甲羅は横長で35mm程度。オスはハサミにツブツブがある。砂泥質の干潟に生息している。オスのハサミ脚は長く、ハサミの部分が下を向いている。
チゴガニ
甲幅1cmほどの小さなカニ。潮が引くと一斉に巣穴から出て食事を始め砂泥を団子状の形で残す。オスは両方のハサミを上下に振る“ウェービング”を行い、個体数の密度が高いと、群れ全体で波打つような光景を見ることができる。
イシガニ
甲羅の幅は10cm程度。甲羅は六角形で、縁にはトゲがたくさんある。ハサミは太く、力も強いため、挟まれると痛い。第5脚はヒレのような形をしており海中を泳ぐこともできる。
ガザミ
一番後ろの足が平たくこれをオールのように使い、水中を泳ぐことが出来る。オスはハサミの脚が長く大型になる。挟む力が強いため注意が必要。甲幅は15センチを超える左右に大きく張り出したトゲが特徴。体色は深い緑に近い。
アナジャコ
体長は雄雌ともに10cm前後。体長の3分の1ほどが頭胸部、甲殻類であるが、体全体はやわらかい。第1脚は、穴が掘りやすいようなスコップのような形状をしている。干潟に深さ50cmから2mの巣穴を掘り、巣穴の中で足を動かして海水の流れを作り、海水中の有機物などを漉しとって食べると言われている。この水の循環により、干潟の海水の浄化に貢献していると考えられている。
クルマエビ
成体は体長15cm程度。体は円筒形で細長い。黒い縞模様が頭胸部には斜め、腹部には横に入る。和名の由来は腹を丸めた状態の縞模様が車輪のように見えることが由来と言われる。
ユビナガホンヤドカリ
貝殻の大きさは30ミリ程度。細く長い触角を持ち、右側のハサミが大きいことが特徴。干潟にあるウミニナ類、イボキサゴ等の貝殻をマイホームとして利用することが多い。干潟では、タイドプールや澪筋等の水中で活動することが多い。エサを求めて活発に活動するが、危険を感じると貝殻の中に素早く潜る。
テナガツノヤドカリ
殻の大きさは20ミリ程度。羽状の触角を持ち、左側のハサミが大きいことが特徴。干潟にあるイボキサゴ等の貝殻をマイホームとして利用することが多い。
カレイ(稚魚)
稚魚は5cm程度の大きさで、砂や泥に潜っている。体は保護色のため、なかなか見つけることができない。
トビハゼ
干潟の泥の上を這う魚。成体の大きさは10 cmほど。体は灰褐色で縞に見えるまだら模様があるが、泥を被っているため良く見えない。眼は頭頂部から突き出ており、左右の目で広大な干潟を見つめている。干潟の上では、胸ヒレを使い這うように移動する。捕まえようと近づくと素早くジャンプをして逃げるので、捕えるのは難しい。水上を水切りのように連続ジャンプを行う姿が名前の由来。
ムツゴロウと同じハゼ科であるが、ムツゴロウの体長は15cm程度で一般的にトビハゼより大型。食性は、トビハゼは、主にゴカイやカニが食性の動物性で、ムツゴロウは藻などを食性とする植物性(ベジタリアン)。
埋立てなどによる干潟の減少で、全国的に生息数が減少している。
アカエイ
浅い干潟などに生息。砂などに潜っていることが多い。特徴は、平たい体でうろこはない。口や鼻は体の腹側、背面は目や目の後ろの噴水孔があり、その付近や裏側の縁がオレンジ色。尾の付け根には硬くて大きな棘が1本あり、突き刺すというより切ってきます。長靴ごと切られて干潟が血に染まった事例も後をたちません。見かけたら注意してください。